英単語や文法の暗記に疲れていませんか?
もし「英語の勉強がつまらない」「覚えても使えない」と感じているなら、「多読」を取り入れてみてください。多読とは、辞書を引かずに自分のレベルに合った英語の文章をたくさん読む学習法。実はこのシンプルな方法こそ、英語を「読む・聞く・話す・書く」すべてのスキルに直結する、効果的で継続しやすい英語学習なのです。
この記事では、英語初級〜中級者に向けて、多読のメリットや具体的な始め方、続けるコツまでを分かりやすく解説します。ぜひ参考にしてみてください。
多読をするときのポイント
1.「やさしい英語」から始める
多読を始めるときにありがちなのが、「早く上達したい」という気持ちから難易度の高い本に手を出してしまうことです。しかし、それは挫折の原因になります。多読の基本は「無理なく読めるレベルの英文を大量に読む」こと。おすすめは、全体の7〜8割が理解できるレベルの教材から始めることです。
特に「Graded Readers(段階別読本)」と呼ばれる、英語学習者向けに語彙数や文法の難易度を調整した読本シリーズは、多読のスタートに最適です。例えば、「Oxford Bookworms」や「Penguin Readers」などが有名です。物語形式なので楽しみながら読み進めることができ、知らず知らずのうちに語彙や表現が身についていきます。
2. 辞書を引かない
多読の最大の特徴は、「分からない単語があっても立ち止まらず読み続ける」というスタイルです。最初は不安かもしれませんが、辞書に頼らないことで文脈から意味を推測する力が育ち、英語を英語のまま理解できる読解力が自然と鍛えられます。
もちろん、どうしても意味が取れずにモヤモヤすることもありますが、それでも流れを止めずに読み進めることが大切です。すべてを完璧に理解する必要はありません。あくまで「大量の英文に触れること」が目的なので、細かい部分にとらわれすぎず、意味がなんとなく分かればOKという気持ちで進めましょう。
3. 量より「習慣」重視で読む
多読というと「1日で何冊読む」「週に〇ページ」といった量に注目しがちですが、重要なのは「継続する習慣を作る」ことです。最初から大量に読もうとせず、1日5分、1ページでも構いません。読むことを生活の中に取り入れて、無理のないペースで続けていくことが、結果的に大きな力になります。
多読の効果は、ある日突然感じられるものではなく、日々の積み重ねによって少しずつ現れてきます。英語に対する抵抗感が薄れ、スムーズに読める感覚が身につき、「英語を読むのが楽しい」と思えるようになるはずです。その感覚こそが、多読成功のサインです。
多読におすすめの教材5選
Oxford Bookworms Library(オックスフォード・ブックワームズ・ライブラリー)
- レベル:Stage 1〜6(語彙数:約400語〜2,500語)
- 特徴:古典文学や推理小説、恋愛、ノンフィクションなどジャンルが豊富で、ストーリーも楽しめる構成になっています。文法や語彙がレベルごとに細かく調整されているため、自分に合ったレベルで始めやすいシリーズです。
- おすすめポイント:英語学習者向けに書かれているので読みやすく、多読初心者の方でも無理なく続けやすい内容になっています。
おすすめ例:『Sherlock Holmes Short Stories』(Level 2)、『Dead Man’s Island』(Level 2)、『A Christmas Carol』(Level 3)
2. Penguin Readers(ペンギン・リーダーズ)
- レベル:Level 1〜7(語彙数:約300語〜3,000語以上)
- 特徴:映画や有名な物語を題材にした作品が多く、知っているストーリーを英語で読むことで理解がスムーズになります。語彙数や文法が段階的にレベル分けされているので、英語力に合わせて選びやすい教材です。
- おすすめポイント:物語に親しみがあり、楽しく多読を進めたい方にぴったりです。
おすすめ例:『Romeo and Juliet』(Level 2)、『Alice Through the Looking Glass』(Level 3)、『Charlie and the Chocolate Factory』(Level 3)
3. ラダーシリーズ(IBCパブリッシング)
- レベル:Level 1〜5(語彙数:約1,000語〜5,000語)
- 特徴:日本人学習者向けに作られた英語読本で、語彙制限がありながら原作の雰囲気をできる限り保っている点が特徴です。
- おすすめポイント:日本人がつまずきやすい部分を意識して作られており、安心して読み進められる教材です。
おすすめ例:『美女と野獣』(Level 1)、『星の王子さま』(Level 2)、『ローマの休日』(Level 2)
4. やさしめの英語原書+オーディオブック
- 対象レベル:中級者以上(TOEIC600点〜)
- 特徴:児童書やヤングアダルト向け小説は、ストーリー性が高く語彙や文法も比較的やさしめなので、多読に適しています。Audibleなどのオーディオブックを併用することで、リスニング力も同時に鍛えることができます。
おすすめ例:『Charlotte’s Web』『Harry Potter(初期巻)』『Wonder』『The Giver』など。
5. 多読用アプリ・電子書籍
おすすめサービス
- Oxford Owl:子ども向けのやさしい絵本やストーリーブックを多数提供しています。
- SORA 多読アプリ(旧SRA):レベルごとに英文リーダーが用意されており、学習進度を記録しながら効率的に学べます。
- +Graded Readers:Kindle端末やアプリを使えば、辞書機能を使いながら読書ができ、手軽に多読を始められます。
英語レベル別、おすすめ教材
レベル | 英語力の目安 | おすすめ教材 |
---|---|---|
初級(TOEIC〜400) | 英語に自信がない方 | Oxford Bookworms Stage 1〜2、 Penguin Readers Level 1〜2 |
中級(TOEIC 400〜600) | 多読に挑戦したい方 | Oxford Bookworms Stage 3〜4、 ラダーシリーズ Level 2〜3 |
中上級(TOEIC 600〜) | 原書にもチャレンジしたい方 | 洋書+オーディオブック、 Penguin Readers Level 5〜7 |
最後に
英語の多読は、語彙力や読解力を無理なく高められる学習法です。最初はやさしいレベルから始め、少しずつステップアップしていくことで、英語を「勉強」から「習慣」へと変えることができます。ご紹介した教材の中から、自分のレベルや興味に合ったものを選び、楽しみながら英語に触れる時間を増やしていきましょう。継続が何よりの力になります。あなたの英語学習が、もっと自由で実りあるものになりますように。