「ラダーシリーズ」とは?
「ラダーシリーズ」とは、英語学習者向けに開発された洋書リーダーのシリーズです。日本のIBCパブリッシングが出版しており、英語力に応じてレベル1〜5までの段階が用意されています。各レベルでは使用される語彙数が制限されており、辞書なしでも読み進めやすいのが特徴です。物語の内容は世界の名作や伝記、ミステリー、SFなど多岐にわたり、学習しながら楽しめる構成になっています。文法や語彙がやさしく書き換えられているため、英語多読の入門としても最適です。英検やTOEIC対策の補助教材としても利用されることが多く、英語学習を継続するモチベーションを高めてくれるシリーズです。
「ラダーシリーズ」Level 4は、どれくらいのレベル?
ラダーシリーズのレベル4は、英検準1級〜1級、TOEIC800点以上が目安とされる上級者向けの読書教材です。文章構造は高度で、使用されている語彙もネイティブに近い自然な表現が多く含まれます。背景知識や文化的な理解も求められるため、英語力だけでなく読解力も必要です。
原作に忠実な内容が多く、読みごたえがある一方で、難解すぎる訳ではなく、語注や簡潔な文体によって英語学習者にも配慮されています。長編小説の要約版も多く、洋書への橋渡しにも適しています。
「ラダーシリーズ」Level 4から作品紹介
『ナイルに死す』| アガサ・クリスティー
名探偵エルキュール・ポアロは、エジプトでの休暇中、複雑な三角関係に巻き込まれることになる。若き大富豪リネット、美貌と執念を併せ持つ旧友ジャクリーン、そしてジャクリーンの元婚約者にしてリネットの新しい夫サイモン。二人の新婚旅行先まで追いかけてきたジャクリーンは、ポアロに向かって「リネットを撃ちたい」と衝撃的な発言をする。そして、ナイル川を航行する豪華客船の中で、ついに銃声が響く──。ポアロの鋭い推理が暴く、誰もが予想しなかった真相とは。アガサ・クリスティーが仕掛けた、密室型ミステリーの代表作。
『オリエント急行殺人事件』| アガサ・クリスティー
続いてもアガサ・クリスティーの作品。名探偵エルキュール・ポアロが豪華寝台列車オリエント急行内で起きた殺人事件を解決します。雪で列車が立ち往生する中、被害者は多くの乗客と複雑な関係を持っており、ポアロは緻密な聞き取りと推理で真相に迫ります。物語は意外な結末と巧妙なトリックで高く評価され、何度も映画やドラマに映像化されています。人間の正義や復讐のテーマも含み、単なるミステリーを超えた深みを持つ名作です。
『カラマーゾフの兄弟』| ドストエフスキー
物語の舞台は19世紀中頃のロシア。放蕩な父フョードルのもとに、別々に育った三人の息子たちが久しぶりに顔を揃える。情熱的で衝動的な長男ドミートリイ、知性派で無神論者の次男イワン、敬虔で心優しい末弟アリョーシャ。三人はそれぞれ父の性質を違った形で受け継いでいた。やがてドミートリイは、父の遺産と愛人グルーシェンカを巡って対立を深め、ついには父を出し抜く計画を企てる。殺意、欲望、信仰、そして人間の本質が交錯する、ドストエフスキーの集大成にして最高傑作のひとつ。
『罪と罰』| ドストエフスキー
こちらもドストエフスキーの作品。主人公ラスコーリニコフは、自己の理論に基づき高慢な高利貸しの老婆を殺害しますが、その罪悪感と精神的葛藤に苦しみます。物語は彼の内面の苦悩、罪の意識、贖罪の過程を描きながら、善悪の問題や人間の自由意志、救済について探求します。リアリズムと心理描写の融合が特徴で、文学史上屈指の心理小説と評価され、世界中で読み継がれています。
『変身』| カフカ
ある朝、主人公グレゴール・ザムザが巨大な虫に変身してしまうという衝撃的な冒頭で始まります。彼は家族のために働いてきた勤勉な青年でしたが、虫となったことで社会との関係を絶たれ、家族からも疎まれていきます。物語は、不条理な状況に置かれた人間の孤独や疎外、存在の意味を描き出しています。明確な原因も救いも提示されない展開は、読者に深い余韻を残し、20世紀文学の金字塔とされています。カフカ特有の不条理と内面描写が際立つ一作。
『シェイクスピア四大悲劇』| シェイクスピア
ルネサンス期のイギリスで活躍し、今なお世界中で読み継がれている劇作家シェイクスピア。本書では、彼の代表作である四大悲劇「ハムレット」「オセロー」「リア王」「マクベス」を収録。原作の戯曲を物語形式にアレンジしたラム姉弟の名作をもとに、シェイクスピア特有の重厚な世界観をやさしい英語で味わうことができます。複雑な人間の心理を巧みに描きつつ、時にユーモアも垣間見えるその悲劇は、文学史に残る不朽の名作です。