「Oxford Bookworms Library」とは?
「Oxford Bookworms Library(オックスフォード・ブックワームズ・ライブラリー)」は、英語学習者向けに作られた多読用のリーダー(簡易英語の読書教材)シリーズです。オックスフォード大学出版局(Oxford University Press)が出版しており、世界中の英語学習者に広く使われています。
「Oxford Bookworms Library」Stage 5はどれくらいレベル?
「Oxford Bookworms Library」Stage 5は、英語学習者向け多読シリーズの中でも中上級者(CEFR B2)向けのレベルです。語彙数は約1,800語で、TOEIC650〜800点程度、英検準1級レベルの読者に適しています。
文章はより自然で複雑になり、比喩や描写も多く、ストーリーも深みのある内容が多いのが特徴です。原作の文体や雰囲気をある程度残しつつ、学習者にも読みやすいよう工夫されています。多読の集大成として、本格的な英語読書への橋渡しとなるレベルです。
「Oxford Bookworms Library」Stage 5から6作品をご紹介!
『Far From the Madding Crowd』| 遥か群衆を離れて
バスシーバ・エバーディンは若く、美しく、誇り高い女性だ。自立心にあふれ、自らの意思で人生を切り開こうとしていた。彼女が望めば誰とでも結婚できる立場にあったが、そもそも結婚そのものに積極的ではなかった。むしろ、男性優位の社会の中で自分の力を試すことに価値を見いだしていたのだ。
しかし、恋愛の力を軽視するのは危険だった。バスシーバは、彼女に想いを寄せる三人の男性のうちの一人と関係を深めるが、その選択がもたらす苦悩に直面する。やがて、かつての自由で独立した日々を懐かしむようになり、愛がもたらす混乱や心の痛み、時には人生さえも揺るがす感情の激しさを思い知ることになる。
『Ghost Stories』
夕食後、私たちは暗がりの中でかくれんぼをしていた。そのとき、誰かの手に触れた。氷のように冷たい感触だった。その人物は一言も発さず、知らない相手だったが、見つかるまではその手を離せなかった。
やがて、次々と仲間が隠れていた場所に集まり始めた。数えてみると、そこにいたのは13人。だが、家には12人しかいないはずだった。不安を覚えつつ、暗闇の中で互いを数え直す。やはり13人いる。慌てて明かりをつけてみると――。
『Great Expectations』| チャールズ・ディケンズの長編小説『大いなる遺産』
薄暗く、誰も寄りつかない屋敷の中で、ハヴィシャムはいつものようにじっと座っていた。彼女の身には、かつて純白だったはずのウェディングドレスがあり、長い年月を経て今では黄ばんでいる。顔はまるで死人のように青白く、黒い目は憎しみに満ちて鋭く光っていた。
その隣には、気品のある美しい少女が座り、向かいには、泥で汚れた長靴を履いた少年ピップが、怯えながら立っていた。ハヴィシャムは冷たい視線を少年に向けながら、隣の少女に低い声で告げる。「この子の心を踏みにじっておやり、エステラ。傷つけるのよ」
『King’s Ransom』
「全車に緊急通報。Smoke Rise地区で誘拐事件が発生しました。被害者は8歳の男の子で、金髪に赤いセーターを着ています。名前はジェフリー・レイノルズ。ダグラス・キングの専属運転手チャールズ・レイノルズの息子です。」
87分署の警官たちは、今回の犯人に強い怒りを抱いていた。なぜなら、犯人は大失敗を犯したからだ。本来狙うべきは大富豪ダグラス・キングの息子だったが、間違って運転手の息子を連れ去ってしまった。犯人は身代金として50万ドルを要求している。金額は大きいが、幼い命と比べれば妥当とも言える。しかし、本当にそれだけの価値があるのか――疑念が残る。
『Little Dorrit』| チャールズ・ディケンズ作
長い間海外で暮らしていたアーサー・クレナムが故郷の英国に戻ってきた。しかし、なぜか母親は彼に冷たい態度をとる。最近亡くなった父親にまつわる不可解な謎が浮かび上がり、アーサーは真実を突き止めようと決意する。母親の仕事を手伝う物静かで優しい少女リトル・ドリットは、夜になると監獄マーシャルシーへと帰っていく。
その秘密と何か関係があるのだろうか。調査を進めるうちに、アーサーは母親自身にも隠された秘密があることに気づく。しかし、その真相を追い求めるあまり、彼は自分の幸せがすぐそばにあることに気づかずにいた…。
『The Great Gatsby』| 1920年代のNY郊外が舞台 – 華麗なるギャッツビー
ニューヨーク郊外の高級住宅街ロング・アイランドにそびえるジェイ・ギャツビーの豪邸は、夜ごと輝きを放っていた。都会から集まった富裕層や著名人たちがシャンパンを手に、終わりなきパーティを楽しんでいたのだ。
しかし、ギャツビーが本当に求めていたのはただひとつ――長い年月心に抱き続けてきた女性を見つけ出すことだった。F・スコット・フィッツジェラルドの代表作『グレート・ギャツビー』は、1920年代の“ジャズ・エイジ”に生きる人々の姿を鮮やかに描き出し、華やかなアメリカン・ドリームの裏に潜む虚しさを鋭く表現している。